・映画短評

0〜9、A〜Z他 い、う、えけ、こさ、しせ、そた、ち、つ
て、と、な行ひ、ふ、へ、ほみ、む、め、も、や行ら、り、る、れろ、わ行


「12モンキーズ」評価×
難解に入り組んだスト−リー構成そのものにケチをつける気はないが、それが感情移入のし難さに直結してるとなると別の話。ただでさえ楽しみ難い題材であるにもかかわらず、こちらが取り付くシマもないとっつきにくさはちょっと問題。どう考えても人物設定に適合しない大物、ブルース・ウィリスを主役に起用する意味もよく解らない。ブラッド・ピットのハジケぶりだけは、まさしく道化師(ピエロ)だった。

「1941」評価×
莫大なお金をかけて作られた完全無欠のおバカ映画。見るべき所も感じられず、散りばめられたギャグも大味。本来なら鑑賞に費やした時間すら返して欲しい所なのだが、スティーブン・スピルバーグ監督本人の方が遥かに「無かった」事にして欲しい作品だろうから許そうと思う。

「2001年 宇宙の旅」評価△
その音と映像の、そして静と動の交錯による見事なまでの表現力にはただ圧倒されるばかり。内容的には決して楽しめる作品ではない。説明の足りない描写も見られる。それら語られ尽くされた感のある諸所の解説については最早他所に譲るものの、1960年代にして既にここまで思い描かれていた、監督スタンリー・キューブリックの夢をこそ真に評価すべきではなかろうか。本作を観ずして21世紀は語れまい。

「34丁目の奇跡」評価○
クリスマス・シーズンの定番クラシック映画。その素直で実直な切り口から成るストーリーには、社会の「負」な側面も平然と盛り込まれており、それが私達には失望感すら与えてしまうやも知れない。当時特有のこの味は、今見てこそ興味深くもあるだろう。とは言え、その結果訪れる結末には誰もが心温まる事請け合い。本作でのサンタの存在って、正に当時のアメリカの良心そのものなんだよね。

「34丁目の奇跡 '94年版」評価○
良作 「34丁目の奇跡」のリメイク版。より自然に、そしてドラマチックに…!細部を修正しつつも見せ場は大味にしてしまう、如何にも九十年代風なアレンジには呆れながらも感服。感動色だけを味わいたいなら、こちらだろう。それにしてもジョン・ヒューズは、こうした心温まる脚本を任せると本当にうまい。リチャード・アッテンボローのサンタも元祖エドモンド・グインに負けず劣らずのデキで嬉しい限り。

「6デイズ7ナイツ」評価△
本作をハリソン・フォード主演のアクション大作という認識で見るのは大間違い。拍子抜けする程アッサリしたアクションの数々が、実は軽妙なテンポを作り出すための舞台演出に過ぎないからだ。このアイバン・ライトマン監督によるラブ・コメディは、そんな中での会話の妙やコミカルさを楽しむのが筋であり、これ以上長くすると冗長になるギリギリの線でまとめられている点も手堅い。わざわざ見る価値はないけれど、見ても損はしない一作だ。だがヒロイン、アン・ヘッシュの他ではお目にかかれない魅力的な演技っぷりは、ファンには必見ものか。

「八仙飯店之人肉饅頭」評価△
香港ホラーを代表するカルト作。観る者のド肝を抜く殺害シーンばかりが注目されがちだが、様々な映画で殺戮場面を見慣れてきたせいだろうか、私には警察が行う拷問シーンの方が遥かに恐ろしく思えた。手段を選ばぬ拷問を「正義」の名の元に平然と行う警察の前ではむしろ、猟期殺人犯であるウォンの方がいたたまれなく思える程。別の側面で観れば、本作のテーマは意外とその辺にもあるのかもしれない。

「CUBE」評価△
ある日目覚めると正方形の見知らぬ部屋の中だった。突然そんな状況に陥った7人の男女が繰り広げる脱出劇をスピーディーに描き出す新感覚のスリラー。極限に追いつめられた人間の複雑な心理模様を様々な形で描いている点も見所の一つだが、主人公が決まっていない事が、その人間関係を多方面から描く事を可能にしており興味深い。ただ、最後まで数々の謎を山積みにさせたまま終わる構成も面白いとは思うのだが、それなら彼らをこの迷宮に送り込んだ者達について中途半端に追究する各プロットは蛇足にしか過ぎないのでないだろうか?やるのなら徹底的にして欲しかった。

「go」評価◎
クリスマス・イヴの夜、ひょんな事から様々な騒動に巻き込まれていく若者達のドタバタ劇。下手に重たい含みを持たせず、純粋に楽しめる作品を作ろうという姿勢に非常に好感。場を白けさせるような生真面目なテーマなぞ挿入せずとも、こうした形での方がむしろ身につまされるモノもあるというもの。全体のテンポもスピーディーで軽快。各登場人物のリンクも楽しい。皆でワイワイ楽しんで見るにはもってこいの快作。

「GODZILLA ゴジラ」評価○
日本が世界に誇る有名怪獣のハリウッド版リメイク。公開時に騒がれたデザインの違和感から来る偏狭な価値観による酷評の数々には正直閉口。前半は単体巨大怪獣との、後半は群れを成す怪獣達との対決と、一本で二度おいしい(?)展開に仕上がった、この一大エンタテイメント映画に対して、一体観客はそれ以外の何を求めたと言うのだろうか?

「M」評価△
フリッツ・ラング監督によるドイツ映画の傑作スリラー。恐らく精神異常者による連続殺害モノを扱った最初の作品ではなかろうか。犯人が犯罪を行う前に必ず吹き鳴らす口笛の恐ろしい事。その調べが聞こえてくるだけで、姿をハッキリと見せない描写は身の毛がよだつ。盲目の老人を使っての演出も見事で彼の売る風船も非常に印象的。終盤からの犯人に対する人々の行いこそがまた恐ろしく、今見ても非常に斬新。犯罪者に見えない犯罪者を一早く描いた作戦勝ちの一品と言えるだろう。

「TAXi」評価○
リュック・ベッソンが長年温めていた、スピード狂のタクシードライバーと無免許の警察官のコンビが巻き起こす荒唐無稽なドタバタ劇を映画化。「ドイツ人だからドイツ車に乗る!」という問答無用の前提から始まって、次々と繰り出されるおバカなギャグとCGレスで撮られた迫真のカー・アクションには惹き付けられっ放し。何よりも、理屈抜きに観客を楽しませ、自らをも楽んじゃおうという製作者側の姿勢は一番の魅力。

「X線の眼を持つ男」評価△
視覚を異常に発達させる薬品を開発した男に訪れる恐怖を描くホラー。粗だらけの構成には閉口させられるが、その切り口は実に斬新。特撮やお色気、狂気に迫る恐怖感等は、現在の技術力や規制緩和で当時とは比べ物にならぬ程充実出来るはずなので、昨今のリメイク・ブームにあやかれば、確実にヒットが見込める題材である。本作では消化不良に終わっている底辺に流れるテーマ性も真に考えさせられるものなので、こうした作品こそもう一度日の目を浴びるべきだろう。






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