・映画短評

い、う、えけ、こさ、しせ、そた、ち、つ
て、と、な行ひ、ふ、へ、ほみ、む、め、も、や行ら、り、る、れろ、わ行0〜9,A〜Z他


「カイロの紫のバラ」評価○
監督のウディ・アレン本人が、自身の手がけた作品で最もお気に入りだと公言している非常に完成度の高い作品。評価すべきは、スクリーンから出てくるヒーローだけを描くのではなく、その主役が抜けてしまった映画のその後についても、同様に描き続ける点。他の同系作品が決してカバーしない、このような展開上の粗をもキチンと描けている所は素晴らしい。ヒロインのミア・ファローの魅力も存分に発揮されて、このロマンティックなラブ・ストーリーを更に味わい深いものに。含みのあるラストも実に印象的。

「カクテル」評価△
若きトム・クルーズの魅力と、作品自体の瑞々しさが上手にマッチした青春劇。カクテル・バーという舞台も洒落ている。それに加えてラスト近くの名言 『誇りが悩みを隠し、本当の気持ちを隠した―』が素晴らしい。世の若者には是非見て欲しいし、またウケて然るべき作品である。

「カサブランカ」評価○
全編、名台詞のオンパレード。豪華なキャスト。心に沁みる主題歌。言う事無しの誠に映画らしい映画。けちのつけようが無いのだが、全てが優等生すぎて逆に私なんかはハマれんクチ。まだ見てないって人は、ボギーの渋さとイングリット・バーグマンの美しさにやられちゃおう。「君の瞳に乾杯!!」

「風と共に去りぬ」評価○
非常に漫画っぽい構成の元、非常に漫画っぽいキャラクター達が、非常に漫画っぽくストーリーを紡ぎあげてゆく一大叙事詩。良く言えばドラマチックで、悪く言えば全てが大袈裟な、とにかく「わかりやすい」作品。しかしアカデミー賞の独占、幾度にも渡るリバイバル上映や、その膨大な収益金等、映画史に燦然とその名を刻み込んだ大ヒット作である事実から、我々が映画に求めているのは案外、こういうものなのかもしれない。

「カナディアン・エクスプレス」評価○
鉄道の車両内という密室の中、その限られた舞台をフルに使って展開する推理サスペンスの巧みさには終始魅了されっ放し。適度なアクション・シーンを盛り込みつつ、主演のジーン・ハックマンの落ち着いた演技に代表される渋〜い印象が光る佳作。こんな作品にこそ偶然出会ってみたいもの。

「カプリコン1」評価○
人類の火星到達という歴史的な偉業を知らせるこの映像が、全て人工的な嘘っぱちだったとしたら…?タブーとも思える政府やNASA、果てはFBIへの敵視を敢然と行う姿勢には脱帽。その上映を許してしまう各国の寛大さも称賛したい。内容も緻密さと大胆さをバランス良く織り交ぜ、十分に楽しめるデキに。一般的にはハッピーとも取れるラストが、今後の国家を、そして宇宙への果てしない夢を中心に考えると、素直に喜んでいいものかどうか悩ませる佳作。

「仮面の男」評価○
単なるレオ様映画だと高を括ってた所、予想を覆す出来映えにびっくり。そうなんです、皆さん。騙されてはいけません。本作はデュマ原作の名作「三銃士」の純然たる続編。故にその主役も当然ダルタニアンなのです。そう思って観てみると、あら不思議。高貴な騎士道精神を貫く誇り高い男達の友情と苦悩の活劇に一変するではありませんか。王様として二役こなしていた脇役の人も妙に印象に残るし(笑)、お得な気分になる事間違い無し!?

「カリガリ博士」評価△
ドイツ表現主義時代の代表的作品。デフォルメされた非日常的なセットの基、展開される異様な殺人劇は当に奇発。登場人物達の異様さが、その独特の世界観を更に向上させており、節々で後世に与えた影響の大きい一作である。とにもかくにもこの妖しいムードを一度は体感して欲しいもの。しかし、あのオチは…不気味だ。

「ガンジー」評価○
実在したマハトマ・ガンジーの軌跡を辿るノン・フィクション。一介の弁護士に過ぎなかったガンジーが革命に至る経緯から暗殺までの数々のエピソードは実話故か淡々とした語り口で、非情な感も。ただ、あまりに彼をヒーロー然として描き過ぎないその構成は強い説得力をも生み出している。現地と思えぬ程(衛生的にも)美しく見えるインドの風景はリチャード・アッテンボロー監督の個性の表出と見れば良いのだろうか。






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