・映画短評

い、う、えけ、こさ、しせ、そた、ち、つ
て、と、な行ひ、ふ、へ、ほみ、む、め、も、や行ら、り、る、れろ、わ行0〜9,A〜Z他


「哀愁」評価○
『彼女は、本作と「風と共に去りぬ」のわずか2本で伝説になった』と評されるヴィヴィアン・リーの代表作。友人が“性”を売り物にしてお金を稼いでいる事を、ヴィヴィアン演じるマイラが気付く場面があるのだが、その前に友人の微妙なしぐさだけで私達にそれとなく、本当にさりげなく、それを悟らせる演出がある。個人的に最も評価したい所だ。内容も一介のナンパものに留まらぬまとまり。クライマックスでの車のテールランプ、それはマイラの目に何を映したのだろうか。

「アイズ・ワイド・シャット」評価◎
天才スタンリー・キューブリック監督の遺作。現実と妄想との狭間が次第に不明瞭になってゆく様子は流石キューブリックとでも言うべき構成力。下手なホラー映画よりよっぽど怖い音楽と雰囲気も本作の確固たる世界観の構築に一役かっている。老いて尚、その稀有なる独創力は健在だったと言うべきか。原作は妻の前で泣き崩れる主人公の場面で終わるため、そこから後こそがキューブリックの真髄。原作を離れた彼からの最後の遺言なのである。深い。

「アダムスファミリー」評価△
海外の人気ホームドラマの特別編的映画化作品。ドラマのスペシャル版らしく始まりと終わりとでは話が動かない、という定説をキッチリ守った作りは当シリーズ初体験の方々にはちょっと物足りないフシがあるかもしれない。けれどもそれを補って余りある魅力的なキャラ達がそれぞれ立っており、楽しめるデキに仕上がっている。毒っ気の強い主要キャラ達のアクを中和して和ませてくれるハンドの存在も貴重。

「アダムスファミリー2」評価△
人気シリーズの映画化第2弾作品。前作と違って、最初からファミリーが揃っている分ストーリーにもゆとりが出た感。その分各キャラの個性が前作以上に引き立って魅力的。特にウェンズデーとフェスターの両人は秀逸。今回初登場の赤ちゃんよりも、はるかにいい味を出している。この手の話は主要キャラのアクが強い分、悪役は相当個性がないと霞んでしまう恐れがあるが、この点も及第点なだけに好感が持てる。

「あなたに恋のリフレイン」評価○
幾度も同じ相手との結婚・離婚を繰り返す男女のラブストーリー。「実際にあった話」という重さを映画らしくコミカルに脚色したシナリオがきれいに相殺、軽いノリで楽しめる作品に仕上がっている。思うに主役の二人の身に起るゴタゴタもよく聞く話なので、その都度盛り上がったり冷めたりを破局・婚姻とまで発展させてしまった原案の二人は、よほど感情の起伏が激しい「思い込んだら一直線」タイプだったのだろう。ともあれカップルで見るのにうってつけ、お薦めの佳作である。

「アニー・ホール」評価◎
ウディ・アレンの代表作。彼自身のダイアン・キートンに対する想いを素直に描いたと思われる傑作。ウディ特有の軽快な切り口によるユーモアと皮肉は絶好調。ファンには冒頭のアップだけで楽しめる。特にシンデレラの劇中アニメ部分は最高。あの時のアレンのキャラクター・ストラップが出たらヒット間違い無しだろう(笑)上質のラブ・ストーリーとしても十分満足できるデキ。チョイ役でシガニー・ウィーバーも出てたりする。

「アパートの鍵貸します。」評価☆
現在の所、堂々のMY BEST第一位作品。(短評は こちら

「アメリカン・グラフィティ」評価○
ジョージ・ルーカス監督による青春映画の代表作。今やすっかりオールディーズとなった60’sヒット・チューンの数々をバックに、華やぎ浮かれ、そして悩む登場人物達の姿が実に生き生きと描かれている。それが鮮やかであればある程また、対比の効いた儚げなラストが忘れられないものに。若いハリソン・フォードの姿も要チェック!

「アメリカン・ビューティー」評価○
アカデミー五部門受賞の話題作。その肩書き通りに、TVの連続ドラマを思わせるテンポの良さと秀逸な音楽が観る者を惹きこむ良作だが、ラストだけはどうだろう。クライマックスの銃声の後は(例えそれが真犯人を描くものだとしても)あまり意味のないエピローグをダラダラ引っ張らずとも、すぐ語りにもっていった方が、より余韻が生きたのでは。また物語自体にも賛否両論ある本作だが私には「冒頭の状況に至ってから」の家庭崩壊に焦点を当てた内容なのだから、納得もいくし悪くもない結末だと思える。

「アラビアのロレンス」評価◎
“当時だからこそ”可能だったお金と時間の使い方をフルに活用した、巨匠ディヴィッド・リーンの集大成とも言うべき超大作。冒頭でオマー・シャリフが、広大な砂漠の中をゴマ粒程度にしか見えぬ程の遠距離から少しづつこちらへ向かってくる長尺シーンは正にその代表例。こうしたスケールの大きさで他を圧倒するかと思えば、全体の作りもかなりの練り様。幾ら英雄視されようと如何ともし難い、国家に対する個人の無力さというものを真正面から描き出す展開は非常に現実的。飛躍と挫折のコントラストが何ともはかない名作である。

「アルマゲドン」評価○
世紀末ブームに乗り、同系ヒット作 「ディープ・インパクト」のあおりも受け、タイミングバッチリに登場したマイケル・ベイ監督による大作SF。相変らずの大味な作りもスティーブ・ブシェミ等の人間臭い演技により或る程度中和に成功。ツボを押さえた構成も感動したい人にはピッタリ。ただ、宇宙空間での暗さとマスク、落着かないカット割りのため登場人物の判別が困難な部分も見られ、私はどっぷりのめり込めなかった。回避不可能に近い絶体絶命状態に陥りすぎる点も気になる。ただし終盤は掛け値なしにアツイ!蛇足だが 「博士の異常な愛情」へのオマージュも嬉しい限り。

「或る夜の出来事」評価○
“キング・オブ・ハリウッド”クラーク・ゲイブル主演によるロマンティック・コメディの草分け的存在にして代表作。その洒落た演出と構成の素晴らしさは、 「ローマの休日」「卒業」といった後の名作にも強い影響を与えている事でも感じられよう。当年のアカデミー賞主要部門独占も頷ける話。ちなみにゲイブルはこのジャンルへの出演は初経験だったとか。それでいてこの演技、立派なモノである。う〜ん、ジェリコの壁〜〜〜!!

「アンダルシアの犬」評価△
スペイン映画。脚本にかの大芸術家、サルバドーレ・ダリが参加している事でも、つとに有名な作品。全編を通して意味不明な、断片的且つ断続的な映像の連続で観る者を圧倒する。特に有名な、女性の眼球をカミソリで裂くシーンは圧巻。サイレント作である事も恐怖感をより煽るため逆に利用されているようにすら感じられる。路上に転がる手首やピアノにもたれるロバの死骸、手に群がるアリ等、私達の「感覚」に直接訴えかける恐ろしさ。内容を理解する事はほぼ不可能だが、まぎれも無くシュールレアリズムの一大傑作である。余談だが、個人的には脇毛が一番印象深かったりする(笑)

「アンツ」評価○
ドリームワークス製作のフルCG・アニメ。ウリはハリウッドの一流役者をふんだんに使った声優陣の豪華さと、CGによって描かれる壮大なスケールの蟻。だが本作の魅力はこれだけに留まらない。あらゆる面で主役Zの声担当であるウディ・アレンのカラーが見受けられるのだ。幕開けと最後の語り、Zのセリフに多々含まれるアイロニー、掛かり付けの精神分析医(?)の存在や王女とのロマンス具合等、子供向けアニメとしては明らかに異質なこれらのテイストも、一連のウディ監督作品ではお馴染みのものばかり。解り易いストーリー設定とアニメの形を取る事で敷居を下げた、単なるウディ映画と言っても過言ではないだろう。これを子供向けの棚に置いているレンタル店はハッキリ言ってナンセンス。

「アンブレイカブル」評価×
観客を驚かす事に力を入れ過ぎて、お話の前にまず「謎」ありきになってしまった失敗作。実直なドラマの存在があってこそ魅力的だった、同じM・ナイト・シャマラン監督作「シックス・センス」の時に感じた危惧がそのまま具体化してしまった感。全てのシーンに意味なんて無くてもいいから、ストーリー性を高める努力をして欲しかった。 表裏一体たるブルース・ウィリスに対するあてつけとも取れるサミュエル・L・ジャクソンの髪型だけは抜群なんだけどね。






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