・映画短評

ひ、ふ、へ、ほ い、う、えけ、こさ、しせ、そた、ち、つ
て、と、な行み、む、め、も、や行ら、り、る、れろ、わ行0〜9,A〜Z他


「陽のあたる教室」評価◎
リチャード・ドレイファス主演の感動作。そのタイトルから、荒廃したクラスへ赴任した教師がその情熱で生徒達を更正していく、というよくある学園モノを想像していたが、見事に裏切られた。巻き起こる生徒達の騒動を描くのではなく、主役である一教師の人生を淡々と綴っていく構成は新鮮且つ堅実。ほんのりドラマティックな展開も、非常に味わい深い。劇中で頻繁に流れるので、ビートルズについての知識があればより楽しめるだろう。その中でも「BEAUTIFUL BOY」歌唱シーンは格別。誰もが温かい気持ちになれる佳作である。

「ファイブ・イージー・ピーセス」評価△
ジャック・ニコルソン主演のアメリカン・ニュー・シネマ。虚勢を張りつつも本当は誰より自分に自信が持てず、愛を渇望しながらも自らは他人に歩み寄る事が出来ない孤独な男の姿。同系の「イージー・ライダー」と違い、主人公がカリスマ的に描かれていない分、その泥臭さに一層のリアリティが感じられる。迎えるエンディングも非常に現実的で、作風へのハマリ具合は抜群。もはや受身にしかなれない父にだけ、言い換えればそんな父にしか打ち明けられない心情を主人公が吐露するシーンも印象的。

「ファンタジア2000」評価☆
正しく今世紀最後の一大映像イベント。アイマックス・シアターで観てこそ、その醍醐味を堪能できる本作にその他の鑑賞法は禁物。著名なクラシック音楽に乗せて展開されるオムニバスのストーリーには終始魅了されっ放しになる事請け合いで、特にかつての名作「ミッキーの摩天楼狂笑曲」のエッセンスも感じさせる「ラプソディ・イン・ブルー」での洒落たセンスは格別。「もののけ姫」の影響を色濃く感じさせる「火の鳥」も、これこそがディズニー映画の永遠のテーマなのであろうと素直に感動。ホント、目の保養ってこういう事なんだよね♪

「フォレスト・ガンプ 一期一会」評価◎
アカデミー作品賞を受賞したロバート・ゼメキス監督の代表作。アメリカ合衆国の歴史を架空の人物フォレスト・ガンプの活動歴に重ねて振り返ってゆく形式は、そのテンポも絶妙。物悲しいエピソードもどこかホンワカとした視点で描き出してくれる主人公フォレストの人柄(=本作自身の雰囲気)が実に素晴らしい。彼の語る推し付けがましくない数々の教訓も、その簡潔さ故だろう、素直に私達の心に響く。トム・ハンクスの実直なイメージもハマリ役だった傑作。ゲイリー・シニーズもマル。

「武器よさらば」評価×
ヘミングウェイ原作の映画化。主役の二人が恋愛に至る過程の安易さ。そこで交わされる、二人の世界にどっぷり浸かりすぎの愛の言葉の数々。「−安直だけど純粋さが胸を打つのです(笑)」と言う人には向いているのかもしれないが、私には不快なだけであった。物語自体の作りも、 「慕情」「巡り逢い」なんかから更に戦争色を強めただけ、といった感じ。名作必ずしも名画とならず、といった所か。

「プライベート・ライアン」評価○
本作の効果は絶大。真に迫った戦闘シーンばかりが話題になった印象が強いが、それだけではない。確かに「他人事」感が拭えなかった「戦争」の恐怖をその場にいるかの如く体感できる戦闘シーンは反戦映画としてこれ以上の効果はないとも思われる。ただそれも、戦争映画というだけでその辛気臭いイメージから敬遠していた人すら、すんなり鑑賞できてしまう作品に仕上げたエンタテイメントの巨匠、スピルバーグの腕があればこそ。そう、戦闘シーン以外の「見やすさ」があるからこそ益々映えた快作と言えるだろう。

「ブラス!」評価○
別段、目新しい訳でもないストーリー展開にもかかわらず感動してしまうのはひとえに音楽の力の偉大さ故か。劇中に盛り込まれる音楽(演奏)が物語全体の底上げに大きく貢献、とりわけクライマックスでの演奏シーンは格別。同系作の匂いがする「フル・モンティ」なんかよりは遥かに上質な一品である。

「ブラック・レイン」評価△
「ガイジン」のフィルターを通すと、同じ日本を映してもここまで違ってしまうものなのか。リドリー・スコット監督による日米共同の大作アクションは、アメリカ風の味付けを全編に施した展開に日本の重鎮俳優達がアンバランスにマッチしており、新鮮に楽しめる。何処か勘違いしている日本国の描写も要チェック!…と、思ったら撮影はヤン・デ・ポンだった(笑)

「プラトーン」評価○
巨匠オリバー・ストーンによる戦争映画の代表作。同じく戦争ものの 「プライベート・ライアン」と比較すれば、一目瞭然なのだが本作は最初から最後までいたって陰湿。これを嫌悪する向きも多いと思うが、「プライベート〜」が戦争の「恐怖」を描く作品なら本作は「悲惨さ、むくわれなさ」を描くもの。同じ戦争に対してもアプローチの仕方が違うのだから、むしろこの差は当たり前。その中で描かれる登場人物達の心情や情景の描写は非常に秀逸。ただのドンパチだけでない戦争のやりきれなさを私達に伝えてくれる本作の方を個人的には「プライベート〜」よりも推しておきたい。

「フル・モンティ」評価×
ダメ。これの不幸は日本の販促のまずさ。宣伝でお笑い部分を誇張し過ぎたために、ヒットはしたが作品の評価(日本での)を下げたように思う。まず、お笑い一本のコメディではなく、家族愛を描いた物語である事への認識が重要。そう思って見ないと、笑い・感動と全てにおいて中途半端な印象を受けてしまう。私はB級映画には一箇所でも光る部分があれば成功だと思っている。描きは甘いが、その意味では合格点だっただけに惜しまれる一作。

「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」評価×
事実なのかフィクションなのか不明瞭、且つ徹底的にドキュメンタリー・タッチで物語が展開されるという、これまでに誰かがやっていそうでしていなかった斬新なアイデアが話題となった問題作。映像自体は頻繁な手ブレと粗悪な画質とで観難い事この上ないのだが、構図や編集がシッカリしている分、意図的な職人芸を感じさせる。想像に重きを置く恐怖描写も本作にはピッタリ。問題は「煽り」のためだけに盛り込まれたとしか思えない、くだらない謎の数々。意味のわからない「?」がやたら思わせぶりに連発された挙句、一切のヒントもないまま幕となる結末には正直呆れた。製作者ですら的確に解説ができないであろう未消化な謎なんて、鑑賞後に討論しようとも思えない。安易な手段を用いたばっかりに、アイデアの魅力も薄れてしまった残念な一本。

「ブレイヴ・ハート」評価△
メル・ギブソン主演、当年のアカデミー賞を受賞した大作。全体的になかなか見せてくれるのだが、どこか「スパルタカス」を思わせるような…主人公のイメージもメル・ギブソンとは合わないように感じられた。その他、作品自体にはケチはないのだが問題は字幕。私が観たものは主人公の最後の断末魔のセリフ「freedom!!」を「自由万歳!」と訳していて、一気に冷めてしまった。あそこはどう考えても「自由を!」程度が適当だろう、それを「万歳」とは…邦訳に初めて違和感を感じてしまった作品でした。

「フレンジー」評価○
巨匠アルフレッド・ヒチコックお得意のスリラー快作。数箇所で見られる、長回しによる舐めるようなカメラ・ワークは絶妙。特に中盤での、殺人描写を直接見せるよりもはるかに効果的な演出としてこれが使用されているシーンは卓越。スパイスとしては、警部の奥さんも実にいい味を出しており好感度大。彼女の語るセリフ、作る料理、そして動作に至るまで非常に計算され尽くされており興味深い。

「フレンチ・キス」評価△
メグ・ライアン主演のラブ・コメディ。軽妙なテンポと切り口で綴られるストーリーは素直に楽しい。メグの「チャッカリ・ハッキリ、でもちょっと繊細」という連ドラ全盛期の山口智子を彷彿とさせるキャラクターは、日本でもウケル事請け合い。ただ、彼女の自然なヒロイン像に対し、あまりに破天荒すぎる御相手の設定がまずかったのか、ラストの選択にはちょっと共感しかねる点も。その分余計に「絵空事」感が増してしまった気がする。観る時はカップルで、がお薦め!

「ブロークダウン・パレス」評価×
タイに卒業旅行に来た少女達が謂れのない罪で入獄する破目に。二人が見知らぬ地で利用され、残酷な運命に流される展開はスピーディーで見所も十分。実際に身近で起り得る内容な分、余計に共感できる点も良かった。が、痛恨は終盤。あれは何なのだろう?私には製作側が何か勘違いしているとしか思えない。あんな自己犠牲は何の感動も生み出さない、ただ本作をお粗末な友情モノに貶めているだけだ。迎えるラストに何の希望もない事も周知だろう。まだ流れのまま最悪のラストにした方が胸に詰まるというものだ。随所に傑作となる要素が多かった分、残念でならない。

「ペーパー・ムーン」評価○
テイタム・オニールが最年少でアカデミー賞を受賞した事でも有名な佳作。確かに彼女を見ていると、大抵の子役は霞んでしまう。話もかなり上質で楽しめる事請け合いなのだが、残念なのはラスト。どうにも整理しきれていない印象が強いので、いっその事15分早く終えてしまった方が良かった気がする。父が娘に歩み寄るシーンが無ければ、最後を描く必要もなく思えるのに、娘の方から動かしてしまうとは…正直「ここで終われば言う事ないのに」という場面が幾度もあった。

「慕情」評価×
「めぐり逢い」と並び評されるラブロマンスの代表的作品。本作は舞台が香港となっており、割と異文化色の濃いものに。この手の作品お決まりのナンパから始まって、戦争が愛する二人を引き離すという、お約束の展開に私は素直に感動できないまま。全体的にクドイ?大袈裟?役者が浸り過ぎ?何がダメなんだろうか??ベタベタ好きな方には素直にお薦め、かな。

「ホーム・アローン」評価○
家族揃っての旅行のはずが一人取り残されてしまった主人公の男の子と忍び込んできた泥棒との大格闘を描くファミリー・ドラマ。随所に出てくるギャグはもちろん、泥棒退治のためのあの手この手の仕掛けは掛け値なしに楽しい。そんな中で親子間の愛情もキッチリ盛り込みホロッとさせてくれるツボをついた作りは手堅い限りで、娯楽作品としてはかなり上質。当時のマコーレー・カルキン少年の天性のセンスと可愛さも見逃せない。

「ホーム・アローン2」評価×
大ヒットした前作の続編なのだが、その名の通り、舞台をニューヨークに移しただけで、内容はただそのまま前作を完全になぞっただけ。どんなに楽しいギャグでも、同じものをもう一度やられては笑えないのと同様に、同じタッチで同じ展開のストーリーを見せられても、もはやそこに目新しさはない。前作以上の何かが一つでも無い事には…せめてクライマックスだけでも何とかして欲しいものだったが。「1」を堪能した人には逆に無意味な作品ともなろう。

「ボルケーノ」評価△
自然災害ムービー・ブームの中で作られたために、これといって目立つ事無く埋れていった作品の一つだが、ドッコイこれがなかなか鑑賞に堪えるデキ。直球ながらも、瀕死の負傷者をかばってマグマへ飛び込む救命士の姿が胸を打つ。問題は唯一点、物語の迫力の割に画面から凄みや華やかさが、それ程には伝わってこない事。主演であるトミー・リー・ジョーンズの地味さが一番の要因か?渋味や堅実味だけなら他の人でも表現できる。

「ホワット・ライズ・ビニーズ」評価×
ロバート・ゼメキス監督、ハリソン・フォード&ミシェル・ファイファー主演という豪華メンバーで贈られるホラー・サスペンス。筋立てに目新しさはないものの、過去の恐怖映画をよく研究し、怖がらせ方のツボを心得ている点には好感。誉めてる訳ではないが、昔は多かった、散々謎めかした挙句結局その殆どを単なる超常現象で済ましてしまうという、「そのまんま」な作風も久しぶりに見た気がする。もっともそれを抜きにしても、このあまりに先の読める核心部の謎解きに2時間超は長すぎだったが。






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